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フリーランス新法「契約トラブル」の防衛策:下請けいじめから自らの身を守る必須知識

仕事の攻略本 編集部 ➔

キャリア戦略・転職リサーチ担当

個人事業主やフリーランスとして独立することは、自らのスキルで自由に生きる魅力的な道です。しかし、組織ろした後ろ盾がない個人は、取引先(発注元企業)との力関係において圧倒的に不利な立場に置かれがちです。

「メールや口頭で発注されたのに、納品直前に突然キャンセルされた」 「成果物を納品したのに、何度も理不尽な修正を無償で強要される」 「支払期日を過ぎても『今月は資金繰りが厳しいから』と報酬が支払われない」

こうした理不尽な「下請けいじめ」のようなトラブルは、フリーランスの現場で後を絶ちませんでした。

これら個人で働く人々を取り巻く過酷な取引環境を適正化し、弱い立場にある個人を法的に守るために制定されたのが、**「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」**です。

この記事では、フリーランス新法が定める発注元の義務や禁止事項を整理し、悪質なクライアントによる買いたたきや未払いからあなたの身を守るための「実務的な自己防衛チェックリスト」を解説します。


1. 法律が保障する「発注元の3大義務」

フリーランス新法により、企業(発注元)が個人(フリーランス)に対して業務を委託する際、以下の義務が厳格に課されることになりました。これらに違反している企業との取引は、即座に法律違反を指摘できる強い武器になります。

① 取引条件の「書面(または電子データ)」による即時明示義務(第3条義務)

最も重要な義務です。企業はフリーランスに発注する際、以下の内容を直ちに書面、または電子メール・チャットツール(LINEやSlack等含む)で明示しなければなりません。

  • 委託する業務の内容
  • 報酬の額および支払期日
  • 給付の期日(納期)や納品場所 「とりあえずやっておいて、金額は後で相談しよう」という口頭や、金額未定での発注は、この時点で法律違反となります。

② 報酬の「60日以内」の支払期日設定と支払い義務

成果物の納品日(受領日)から数えて、必ず60日以内の出来る限り短い期間内に支払期日を設定し、その期日までに報酬を支払わなければなりません。 元請け企業から「うちも取引先から入金がないから支払えない」といった言い訳は法律上一切通用しません。

③ 募集情報の「正確な表示」義務

求人サイトやSNSなどでフリーランスを募集する際、虚偽の情報や誤解を招くような古い情報を掲載してはならず、取引内容や報酬条件を正確に表示しなければなりません。


2. 長期取引で絶対にやってはいけない「7つの禁止行為」

1ヶ月以上の継続的な業務委託(または契約更新によって1ヶ月以上になる取引)において、発注元企業がフリーランスに対して行う以下の行為は、法律で一発アウトとなる「禁止事項」に定められました。

  1. 受領拒否の禁止 フリーランスに落ち度がないのに、発注者の都合で成果物の受け取りを拒否すること。(「企画の方向性が変わったから」等の理由は不可)
  2. 報酬減額の禁止 発注後に、理由なく約束した報酬を削ること。(「予算が削られたから」「思ったより早く終わったから」等の理由は不可)
  3. 返品の禁止 受け取った成果物を、フリーランス側に責任がないのに返品すること。
  4. 買いたたきの禁止 類似の取引の相場に比べて、著しく低い報酬を一方的に定めること。
  5. 購入・利用強制の禁止 発注元の指定する自社商品やサービス(有料ツールなど)の購入を強制すること。
  6. 不当な経済上の利益の提供要請の禁止 フリーランスに対して、無償での作業手伝いや、金銭の提供を要求すること。
  7. 給付内容の変更・やり直しの強制の禁止 フリーランスに責任がないのに、仕様変更ややり直しをさせ、それに伴う追加の費用を支払わないこと。

3. トラブルを未然に防ぐ「自己防衛チェックリスト」

法律があっても、あなた自身が証拠を残していなければ戦えません。フリーランスとして契約を結び、業務を進める際は、以下の「3つのチェックリスト」を徹底してください。

☑ 「テキストで証拠を残す」を徹底する

チャットや電話で「ここ、ついでに修正しておいて」と言われた場合も、必ず**「先ほどお電話でご指示いただいた〇〇の件、対応いたします。追加費用は発生しない範囲での微修正として承ります」**などとメールやチャットでテキスト化し、相手の同意を得た履歴を残してください。これが「やり直しの強制」に対する強力な物証になります。

☑ 発注条件が未明示のまま作業を開始しない

「大至急やってほしい」と言われ、金額や納期が未確定のまま善意で作業を開始するのは極めて危険です。「法律により、書面またはメールで発注内容と報酬額の明示をいただく必要がありますので、まずはその内容を送ってください」と毅然と伝えましょう。

☑ トラブル時は「フリーランス・トラブル110番」を活用する

もし未払いや減額、契約解除などのトラブルが発生し、自力での解決が難しい場合は、国が設置した弁護士相談窓口**「フリーランス・トラブル110番」**に相談してください。無料で弁護士のアドバイスを受けることができ、和解あっせん手続きなどを依頼できます。


4. まとめ:独立前の「足腰」を鍛える

フリーランスとして生き抜くためには、専門スキルだけでなく、自らを守る契約知識やお金の防衛策が不可欠です。

これから独立を考えている方、あるいは現在すでに個人事業主として活動している方は、当サイトのフリーランス独立 完全マニュアルを参考にしてください。開業届の出し方から、契約書を取り交わす際の実務的な注意点、確定申告の準備までを網羅的にガイドしています。

また、フリーランスとしての適正な「見積もり金額(時給換算額)」が、一般的な会社員の年収相場と比較して妥当であるかを確認するには、年収偏差値チェッカーを指標として活用し、自身の市場価値を客観的に評価してみることをおすすめします。

法律という武器を正しく理解し、対等で健全なビジネスパートナーとしてのポジションを確立していきましょう。